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真剣に向き合う時間が成果につながる シードアクセラレーションプログラム『Incubate Camp』 未分類

起業家と投資家の接点として2010年に誕生した『Incubate Camp』。同キャンプはスタートアップの成長の場として着実な成果をあげている。

「志ある起業家の挑戦を、愚直に支え抜く」をモットーに掲げるインキュベイトファンドが最も力を入れているシードアクセラレーションプログラム『Incubate Camp』について、プログラム創設者の代表パートナー和田圭祐氏に聞いた。

■起業のハードルが下がり、その存在価値を高めている『Incubate Camp』
——すでにたくさんの成功例を持ち、インキュベイトファンドの“顔”とも言えるプログラムに成長したIncubate Campですが、誕生の背景を教えて下さい。

和田:Incubate Campがスタートした当時は、シード投資に関しての需要はそこまでなかった記憶があります。

簡単に時代背景を説明すると、我々がキャンプを始めた2010年頃から急激にスマホシフトが進みました。ソーシャルゲームの盛り上がりというトレンドがやってきて、起業のハードルがかなり下がった。さらにDeNAやGREEのようにベンチャーから成長して上場する企業も出てきました。

キャンプ開始と時を同じくして、起業家、投資家ともに『次のDeNA、GREE』を狙うような動きが出てきていました。そんな変化が生まれる中で、もっとスピーディーに投資したいという投資側からのニーズもありました。

世界的に見ると、いろいろな形のアクセラレーターやインキュベーターはすでにありましたが、日本で目に見える形になったのは私たちがキャンプを始めた2010年だったと思います。Open Network LabやSamurai Venture Summitが始まったのもこの頃ですね。

■企業家と投資家が向き合うための”合宿型“プログラム

——Incubate Camp最大の特徴といえば、その形式にあります。キャンプという形式をとったのはなぜでしょう?

和田:Incubate Campは、1泊2日の合宿形式で行われます。まさにキャンプなのですが、この形式はたしかに他にはない特徴ですね。合宿にしている理由は、単なる接点、顔見せではなく、起業家と投資家が真剣に向き合う場が作りたかったということに尽きます。

――キャンプはどのようなスケジュールで行われるのでしょう?

和田:キャンプ初日は起業家が自分の事業計画についてのプレゼンを行います。その後、起業家、投資家が総当たりでメンタリングを行い、そのときの感触をもとにペアリングを行います。
投資家が組みたい起業家に投票する形でマッチングを行います。複数の投資家がペアリングを希望した起業家はパートナーを選ぶことができるので、投資家がフラれることもあります。

——そこから二人三脚でプレゼンをブラッシュアップしていくわけですね。

和田:2日目のプレゼンに向けてディスカッションがスタートします。起業家と投資家の真剣勝負ですよね。投資家は事業の方向性はもちろん、ディテールや数字についても細かく指摘して、それを克服するアイディアを起業家と一緒になって考えます。戦略の修正や、見せ方の修正、どうしたら投資してもらえるかを練りに練って完成させるわけです。

■起業家だけでなく投資家も試される真剣勝負

——投資家が起業家に一方的にサジェストする場場ではない?

和田:ペアになった起業家と投資家は、とことん向き合うんですよ。ディスカッションが深夜に及ぶことも珍しくありません。
初日のプレゼンで課題がたくさん出た事業が、メンタリングディスカッションを経た2日目のプレゼンで他の事業を圧倒する例も珍しくないので、たった1泊とはいえ、参加した起業家の事業はものすごいスピードで成長するんです。合宿の最後には起業家がどの投資家のメンタリングが良かったか投票するイベントもあるので、投資家も真剣です」

——投資家も試されているんですね。

和田:そうですね。Incubate Campでは、最終的に資金調達に直結するような基準で審査します。ここで関わりを持った投資家が実際に投資をしたり、資金調達に協力するケースも少なくないので、メンタリングにも力が入ります。簡易的なメンタリングだと、欠点を指摘したり、『こうしてみたら可能性あるんじゃない?』というアドバイスで、“お茶を濁す”こともありますが、Incubate Campでは、投資家は“口を出す人”ではなく、口も出すし、頭も手も動かして汗をかきます。メンタリングを経た2日目の投資家の顔つきを見ていると、シミュレーションではなく、実際の投資として支援をしているときの顔になっていますね。

■起業家と投資家のつながり、結びつきを強めた

——今年で10回目迎えたIncubate Camp。起業家が増えたというお話はありましたが、積み重ねてきたことによって変わってきたことはありますか?
和田:時代背景とともに順調に成長してきた感はありますが、インキュベイトファンド、またはIncubate Campだけががんばっていても今の状況はなかったと思います。

VC業界は横のつながりが強いと言われますが、キャンプを見てもいろんな人が協力してくれて成り立っています。投資家だけでなく、起業家もその輪の中に入ってもらっています。投資家と起業家の結びつきが強くなった。仲間が増えたというのが一番大きな変化ですね。

——最後にIncubate Campの魅力と今後の進め方について教えてください。

和田:Incubate Campの最大の魅力は、起業家、投資家双方がキャンプで発する熱量にあると思います。その熱量が生んだ成果は着実に結果に表れています。キャンプをきっかけにした投資の一件あたりの投資金額は右肩上に増えています。シードはもちろん、すでに実績が出ている事業の投資もカバーできるくらい、規模感が拡大しています。キャンプの存在価値が上がってきた実感はあります。これからも起業家と投資家が向き合う場としてIncubate Campを成長させていきたいですね。

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